介護予防といっても幅広く、元気な高齢者の要介護予防から、すでに要介護状態にある方の介護度進展予防まであります。特にケアを必要とする方々のニーズは、疾病や加齢による生活機能障害が正常に回帰することが困難であることを受容しつつ、それを維持・向上させ生活の質と健康感を獲得することにあると思います。詳しくは「QOLと健康感」のコミュニティに譲りますが、生活機能障害の度合いが重いほど療養者自身の「主観的健康感」が重要視されますから、それぞれの介護予防のあり方は、個別的で一様ではありません。その生活機能の維持・向上をはかるアプローチも、おのずから、多様な価値観や状況に対応することが求められますから、学際的で多分野融合型の支援体系が必要になると思います。たとえば食・居住・街・交通コミュニティといった分野の環境整備やボランティア活動の醸成といったマンパワーの獲得、既存の社会的資源の再結集等によって基盤となる「地域生活支援空間」を創造し、介護予防の実践と評価の具体的手法を得て「現場を作る」ことが課題だと思います。それは在宅医療・在宅緩和ケア・地域リハビリテーション・認知症の地域ケア等、今日的課題の実現と一体を成すものであり、共通の理念とマンパワーによって達成されるものとも言えると思います。
高齢者の長年の生活習慣や価値観に働きかけ、行動変容を促すことは容易なことではありません。身近で、長く信頼関係を保つ「ケアする人々」の存在と果たす役割は大きいと思います。