全人的苦痛の理解と地域がん医療や緩和ケアや実践に関するコミュニティです。
年間のがん死が年間30万人を超える状況となりましたが、幸いがん医療の技術的進歩により、個別の細かい治療計画に基づいた通院による化学療法や放射線療法が可能となり、経口モルヒネ等で耐え難い苦痛を回避する緩和ケアの技術も向上してきました。治癒が困難でも、暮らしの場でがんの進行を抑制する治療を継続しながら生きることを支える「地域がん医療」のシステム作りはまだ途上にあります。こうしたがん医療では療養者とご家族、日常を支える“かかりつけ医や訪問看護師”、がん治療を担う“地域がん拠点病院等の専門医”、“緩和ケア専門の多職種チーム”、在宅療養のバックアップとして一時滞在型の緩和ケア病棟(ホスピス㊟)等の連携が必須となります。
緩和ケアの進歩は安楽死を許容するオランダなどでも、薬物を用いて死期を早めるような「積極的安楽死」の選択を減少させています。可能な限り苦痛を緩和して、どんな状況でもとことん生き抜くという選択を支える医療や社会制度があってこそ、尊厳ある死の選択という自己決定が可能になるのだと思います。たとえば療養者が経済的理由や家族の事情などで、死期を早める選択に追い込まれるようなことがあってはならないと思うからです。
緩和ケアでは疼痛緩和だけでなく心のケアも重要な要素です。特に、たとえ早期でも病名を告知する時、進行し終末期に至ったことを告知する時、治療やケアする側は細心の配慮で、療養者が正しく状況を受容し心痛に向き合う過程に寄り添い支えていかねばなりません。疼痛の緩和との両面で行う“全人的緩和ケア”の理念と技術の普及、終末期のケアやご家族の死別の悲嘆のケアを包括した“End-of-Life Care”の充実は喫緊の課題と言えます。
㊟緩和ケア病棟は全国で3千床余りしか整備されておらず、多数の入院には対応できていない。したがってターミナルケアにおける緩和ケアの導入やリコンディショニング、レスパイトケアとしての短期利用による在宅療養の支援病床としての役割が期待されています。